店舗・事務所・住居・駐車場が混在する大型物件では、用途や契約の経緯が異なるため、募集賃料の上昇だけを理由に全区画へ一律の改定を求めることはできません。

当事務所が相談を受け、増額根拠と再案内書面の作成・精査を支援した事例をご紹介します。初回の案内後に合意に至らなかった59戸への再案内について、2026年9月26日時点で39戸が新たに合意し、1戸が退去、19戸は未合意でした。この数字は再案内対象の経過であり、物件全体の合意率ではありません。

事案の概要

依頼者は複合用途の賃貸物件について、現行賃料と周辺の賃料動向を踏まえた見直しを検討していました。初回案内で合意に至らなかった契約について、当事務所は個別の請求内容と通知書面に関する相談を受けました。

店舗・事務所と住居では用途や契約条件が異なり、同じ物件内でも契約開始や前回の賃料合意の時期に差がありました。借主から寄せられた質問や設備に関する指摘も、契約ごとの確認が必要でした。

確認した資料と当事務所の役割

当事務所は、賃貸借契約と改定履歴、公租公課に関する資料、周辺の賃料情報などを確認し、再案内書面で示す根拠と説明を整理しました。比較資料については、用途、面積、設備、募集条件と成約条件の違いに注意して検討しました。

本件で当事務所が担当したのは相談・調査と書面の作成・精査です。59戸すべての借主との交渉を当事務所が代理した事例ではありません。

建物賃料の見直しで確認すること

借地借家法32条は、土地・建物の租税その他の負担、土地・建物の価格その他の経済事情、近傍同種建物の賃料などにより、現在の建物賃料が不相当になった場合の増減額請求を定めています。実際の増額の可否や相当額は、直近に賃料を合意した経緯とその後の事情を含め、個別に検討する必要があります。

新たに募集する物件の表示賃料を、入居中の契約の賃料へそのまま当てはめることはできません。資料の種類と比較条件を明らかにし、相手方の指摘も踏まえて説明することが大切です。

再案内後の経過

初回案内後に合意に至らなかった59戸への再案内について、2026年9月26日時点で39戸が新たに合意し、1戸が退去、19戸が未合意でした。39戸は再案内対象59戸の約66.1%です。基準日後の結果や、物件全体の成績を示す数字ではありません。

本件の経過には、依頼者や管理会社による案内と個別対応を含む複数の事情が関わっています。当事務所の書面支援だけによって合意が成立したと断定するものではなく、他の物件で同様の結果を保証するものでもありません。

物件ごとの資料を踏まえた相談を

一棟で複数の契約を見直す場合も、各契約の内容と前回の合意、比較資料を確認したうえで進めます。当事務所では、賃料見直しの可能性、通知書面、必要に応じた交渉や法的手続について、依頼の範囲を明確にしてご案内します。

継続賃料と新規賃料の違いを読む 比較資料の考え方を読む 物件の概要を相談する

この事例は、依頼者・物件・借主を特定できる情報を省いています。個別の法的見通しは契約と資料によって異なります。